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  • zyamagishi

タイプ別顧問税理士の選び方

更新日:2021年3月15日

 税理士には様々なタイプがあり、アンマッチな税理士を選んでしまうと会社がつぶれてしまう危険すらあります。重要な税理士選びのために、タイプ別の税理士の見極め方と、そのメリット・デメリットを4つに絞ってお伝えします。


税理士の分類 

1.丸投げ記帳代行型

2.お客様は神様型

3.経営アドバイス型



1. 丸投げ記帳代行型~一見素晴らしいように見える~


(1)税理士の6~8割は記帳代行型


 税理士の6~8割はこの記帳代行型です。したがって、税理士を探そうとしたらすぐに見つかります。「面倒な会計記帳は私の方請け負います」と言ったり、「会計記帳は税理士に丸投げで大丈夫です!」という説明をしていれば、このタイプとなります。記帳を丸投げできるというのは一見良いようにも見えますが、デメリットもあるので注意が必要です。


(2)税理士に丸投げ記帳代行がなぜ多いのか


 そもそも、なぜ税理士に丸投げ記帳代行型が多いのでしょうか。理由の1つ目は、税理士にとって難易度は低い業務である一方で、一定程度稼げるからというのがあります。世の多くの中小企業の経理は、毎月繰り返しの部分が大半ですので、会計記帳は手間こそ掛かれど難しくありません。したがって、税理士としてはパートの方を雇って当該作業をお願いすることで、一定の利益を自身が手を動かす事なく確保できるという訳です。


 2つ目の理由は、企業の顧問税理士への依存度を高める為、と言われています。記帳代行を実施している税理士は「会計税務は難しいので私に丸投げしてください」と言って請求書や領収書を預かってしまいます。そうすると、会社側は資料を手元に置かなくなる為、自社での経理業務はデキなくなり、顧問税理士に頼るしかなくなってしまいます。


 上記ような事情から、税理士業界には記帳代行をメイン業務とする税理士が多いのです。


(3)会社から見た記帳代行のメリットとデメリット


 記帳代行型のメリットは、税理士に請求書や領収書を送るだけで、1ヶ月ほどすると試算表が送られてくる分かりやすさです。自社では面倒な会計記帳を代行してくれるという点で、経理業務にリソースを避けない創業初期の中小企業などには魅力的に映るかと思います。


 一方で、メリットの裏返しともいえるデメリットがあります。まず前述の通り記帳代行の実務を担当するのはパートの方であり、税理士は直接見ません。そうなると顧問税理士として経営相談や税務対策などのアドバイスをするにしても、一から貴社の会計状況をみることになる為、有益なアドバイスをしてもらえる確率は高くないです。また前述の通り、会社ではなく税理士事務所側に必要な資料が揃う事になる為、自社だけでは経理や財務の数値把握が困難となってしまいます。また任せっぱなしですと、急に試算表が欲しいと思っても、税理士事務所から届くまでは手に入らず、タイムリーに打ち手を打つことができなかったり、打ち手の効果をすぐに経営業績として確認できないという弊害も起こりえます。つまり、記帳代行は税理士にとっては会社がいつまでも自分に頼ってくれる有難い仕組みですが、会社からすると財務経営力が成長しない問題が生じることになります。

 

(4)記帳代行の税理士がマッチする場合とは


 記帳代行型税理士が適合する会社もあります。たとえば、社員数が1~2名で経理が全くできない会社や、創業当初でとにかく安く記帳したい会社などです。前述のような小規模零細や創業者の場合には記帳代行も止む無しと考えられますが、会社が成長してきた場合には、記帳代行から脱することを考えておかなければならないと思います。その場合、いまの税理士は記帳代行料が顧問料ですので、記帳代行をやめて会社が自社記帳をした場合に、どのような顧問業務をお願いできるのかについて税理士に説明を求めることも必要だと考えられます。



2. お客様は神様型~万能なようで得意分野なし?~


(1)お客様は神様型税理士の見極め方


 お客様は神様型の見極め方は簡単で、税理士が「どの会計ソフトでも当事務所は対応できます」などと説明していれば、このタイプになります。場合により、会計ソフトを2~4つに絞っているタイプもありますが、1つに絞っていなければ、基本的にはこのタイプと考えて頂いて構いません。確認方法としては「先生の事務所ではどの会計システムに対応していますか?」と聞くだけです。複数ソフトに対応していると税理士が説明すれば、このタイプと判断できます。


(2)会社から見た「お客様は神様型」のメリットとデメリット


 会社から見た時のメリットは言うまでもなく、自社が使いたいと考えている会計ソフトに対応してもらえる点です。何らかの事情で会計ソフトを変えたくない場合や、今後会計ソフトを変更することを想定している場合などには、こういうタイプの事務所はありがたい存在です。


 一方で、会社にとってデメリットもあります。それは税理士事務所のスタッフから会計ソフトの活用についてほとんどアドバイスが受けられず、会社の経理力が育たないという点にあります。なぜなら、このタイプの税理士事務所のスタッフは全ての会計ソフトに精通している訳ではないからです。当然ですが、幾つもの会計ソフトに随時対応していくのは非常に煩雑であり、各会計ソフトのバージョンアップによる新機能の追加をすべてキャッチアップしておくことは不可能といっても過言ではないです。つまり「お客様は神様型」の実態としては、スタッフは、会社が会計ソフトの操作について質問をしても複雑な仕様については回答ができませんし、会計ソフトの活用指導なども行っていないケースがほとんどなのです。


 現在は、会計ソフトが発達し、FinTech(フィンテック)と呼ばれる銀行口座の連携機能や、Excelからの仕訳読込機能など、生産性アップや経理力向上のための機能がありますが、上記のような事務所ですと、これらを使いこなすための指導を受けることが難しくなり、結局は試算表を作成するだけの入力マシンと化していることが多いのです。機能を使いこなし会社の経理力を向上するためには、税理士事務所としては、会計ソフトを1つ(ないし2つ程度)に絞り込んでノウハウを蓄積し、お客様に対して存分にアウトプットしていく体制が必要となります。顧問先に対して会計ソフトの選定から指導できるようにする為には、万能型では難しいのです。


(3)お客様は神様型がマッチする場合とは


 自社開発会計ソフトを使っている、会計ソフトを何度も変更することが想定される、などの限られた場合には「お客様は神様型」が良いと思います。しかし、そういった事情がある会社だとしても、どの会計ソフトを使うかにこだわるよりも、しっかりとシステム指導、経理指導をしてくれる税理士かどうかにこだわった方が、会社の成長発展に寄与することになるでしょう。そのためにも、税理士が会計ソフトに対してどのような方針を持っているのか見極めて判断することが大切だと言えます。


3. 経営アドバイス型税理士


(1)経営アドバイス型税理士は全体の3割未満


 丸投げ記帳代行型の対局ともいえる経営アドバイス型税理士は全体の3割未満、下手をすると1割程度しか存在していないかもしれません。理由としては、税理士としての一定の経験が必要な上に、勉強し続けるマインドを持っていないとこのタイプの税理士では居られない為です。


(2)経営アドバイス型税理士の見極め方


 前述の通りこのタイプの税理士のシェアは、税理士の1~3程度と思われますので、探すのは少し大変です。知り合いに税理士紹介をしてもらう場合には3人以上、できれば5人以上の税理士を紹介してもらい面談するのが望ましいでしょう。見極め方としては、「先生は記帳代行をしていますか?」と質問して「小規模零細企業を除き、原則として記帳代行はしていません」と答える税理士であれば、このタイプである可能性が高いです。また「関与先はどの会計ソフトを使用していますか?」と質問して「会計ソフトを1つに絞っています」と答える税理士であれば、このタイプの可能性が更に高まります。なお、「先生はいろいろアドバイスしてくれますか?」と抽象的な質問をしても体の良い返事をされるだけで判断は付かないと思われますので注意が必要です。


(3)経営アドバイス型税理士のメリットとデメリット


 経営アドバイス型税理士の場合、会社が長期的に成長できる伴走者を得られる点が一番のメリットです。末永く経営をしていくためには、様々な角度から経営を考え、打ち手を打っていくことが必要ですが、アドバイス型税理士であれば、情報提供とともに良き相談相手になり、また経理や財務の知識を教えてくれますので、経営者としての人的成長も含めて、付き合うメリットがあります。また、経理担当者がいる場合、経理担当者がその税理士と話をすることで、経理人材の教育指導にもなります。また公認会計士でもある税理士であれば、会社法や原価計算やM&Aなどより広範囲の戦略的な相談も可能です。

 

 デメリットがあるとすれば、アドバイスを必要としていないor受けたくない経営者や、あまりに零細小規模でアドバイスを受けるほどでもない場合は合わないです。また記帳代行などルーティンワークを依頼したい場合も、マッチしない可能性が高いです。なぜならアドバイス型税理士でも記帳代行をしてくれる場合もありますが、宝の持ち腐れと言えます。税理士の活用方法を見直す方が長い目でみてメリットを得られる場合があるでしょう。



(4)リアルタイムに業績を把握し、未来会計へ


 経営アドバイス型税理士の場合には、会社がリアルタイムに業績を把握できるよう自社経理(自計化)を指導してくれます。月次決算をタイムリーにすることで経営者が業績をすぐに把握し、頭を回すことができ、現場への指示も鋭くなります。足元までの業績が分かれば、期末の業績見通しもできるようになります。業績見通しができれば決算対策や納税対策も的確に打てるようになり経営をマネジメントできるようになるのです。


(5)自社経理(自計化)の秘訣


 自社経理(自計化)が難しいと思われる会社もあることでしょう。やったことがないことに挑戦することは不安が付きものです。ただ、経営アドバイス型税理士であれば、経理指導や自計化にも慣れている事がほとんどです。何より会社が自社で会計記帳するメリットを知っていますから、きっちり指導してくれるはずです。また、現在は、ITツールが発達しているため、記帳といっても手入力が減っています。例えば、FinTechにより、銀行口座の入出金データを会計システムに読み込み、AI学習により自動仕訳させることができます。社内にあるExcelデータを会計システムに読み込むことも可能です。給与システムから給与仕訳、販売システムから売上仕訳を連携するなども可能ですから、これら仕訳連携が進めば、相当の省力化ができます。これらについて経営アドバイス型税理士から指導を受け、身に着けることで、アウトプットや分析など付加価値の高い部分に時間をかけることができ、税理士とより多く戦略的な話をする時間を設けることができるようになります。


(6)どんな会計システムを導入すべきか


 経営アドバイス型税理士の場合、会計システムを1つに絞り込んでいることが多いと思います。これは税理士のスタッフにとって複数のシステムに熟練することは難しいためです。1つのシステムに絞り込むことでスタッフがシステムに熟練し、会社にしっかり指導ができるのです。最近の会計システムは、FinTech機能やデータ連携などオプションツールが発達しており、これらを縦横無尽に指導するためには、税理士スタッフがシステムに熟練する必要があります。税理士が会計システムを絞り込んでいることは会社にとってデメリットではなく、メリットと言えるでしょう。税理士の指導もなく会計システムを使った場合には、会社は試算表を打ち出す程度で終わることが大半です。それであれば会計システムにこだわる必要はありません。税理士がお勧めする会計システムを導入することが会社にとっての一番メリットになると思われます。


(7)経営アドバイス型がマッチする場合とは


 会社を発展させるため財務力や信用力を高めたい、また経営者として経営知識や法令遵守をして、末永く経営したいと思っている方にとってはマッチすると思います。またシステムを活用して経営体制を向上させたい、生産性を高めたいという会社にもマッチすると思われます。税理士の指導内容は難しいことが多く、最初は何を言っているのか分からないことも多いと思います。しかし1年、2年とそれを実行し、身をもって経験することで、やっと指導の意味が分かる時があります。末永く長い気持ちで税理と付き合おうと思っている方は、向いているでしょう。



税理士との相性は重要


 ここまで見てきた通り税理士には色々なタイプがあり、会社にマッチする税理士を探すためには、何人もの税理士に会ってじっくり比較検討することが重要です。見極め方とメリット・デメリットを参考に、自社に合う税理士に会社をしっかり見てもらうようにしましょう。


無料相談承ります


 税理士法人山岸会計では上述のような税理士選びについても相談に乗っております。初回相談は無料でお受けしておりますので、もし「相性の良い税理士を探したい」というお気持ちがおありでしたらお気軽に一度ご連絡頂けますと幸いです。

 ※相談したからといって弊事務所に顧問税理士を依頼する必要はございません。




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