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  • zyamagishi

今の顧問税理士で大丈夫かなと思った方向けチェックシート

更新日:2021年3月15日

 いまの顧問税理士のままで大丈夫かな?と思ったことがあるものの、なんとなく顧問契約を続けている…ということは無いでしょうか?長年の付き合いがある、という理由だけで、不満を溜めながらも顧問契約を払い続けていることが経営にとって良い事なのか疑問の向きもあります。そこで、今の税理士のままで大丈夫か心配な方向けに、チェックすべきポイントをまとめて解説します。



1. コミュニケーション(態度)に問題がないか


 最初にチェックして頂きたいのが、税理士(会計事務所)とコミュニケーションが上手く取れているかという点です。顧問税理士と日頃から気軽に相談ができているかどうかを今一度チェックしてみると良いでしょう。

 それでは、税理士とのコミュニケーションのレベル別に問題と対策を見て行きましょう。


(1) 相性が合っているか


 この点を気にされる経営者の方は多数いらっしゃいます。人間同士ですので相性の良し悪しがあるのは仕方がないと思います。また相性がいまいちであっても、業務上の相談には適切に乗ってもらっていて会社が助かっているということであれば、ビジネス上の関係と割り切って付き合い続けるのも一つの方策です。なぜなら人間的に相性が良く、自社のビジネスに貢献してくれる税理士を見つけられるとは限らない為です。

 なお、税理士との相性がどうしても良くない場合の対策としては、担当のスタッフの人を中心にサービスを受けるのが良いかと思います。


(2) 税理士やスタッフと会う頻度は適切か


 税理士や事務所スタッフとの定期的なコミュニケーションがほとんどがなく、1年に数回しか会わないとか、訪問しても20~30分で帰ってしまうという場合には問題がある可能性が高いです。通常、このようなサービス状態であると、会計税務上でも問題が発生することがあり、それを契機に顧問契約の見直しを検討した方が良いケースは少なくありません。


 接触が少ない理由は様々あるかと思いますが、税理士側から見てみると、会ってもいないのに文句も言わず顧問料を支払い続けてくれてのであれば、こんなに楽なことはありません。そうであれば「触らぬ神に祟りなし」として、放置しておくのが得策という考えになっている可能性が高いと言えます。中途半端に会社に接触すると、かえって解約リスクも出てくるので、できるだけ接触しないという行動様式になってしまっているケースがあります。


 コミュニケーション頻度が少ない税理士への対策としては、まず税理士に対してコミュニケーションを取るように依頼し、できれば毎月訪問するなどの顧問サービスの具体的内容を取り決めるのが良いでしょう。訪問時に証憑書類をチェックする、決算予測をする、会計システムの新機能を説明する、税制改正の情報提供をする、等の内容を会社主導で決めて約束事(契約)とするのが良いと思われます。もし税理士が約束したサービス提供をしないなどの場合には解約すると伝えたうえで、改善の機会を持つのが一つかと思われます。


 会計事務所が何をすることにより顧問料を支払うのかを明確に定義づけすることは会社として有効なことだと思います。もし税務問題が起きてしまってから税理士のせいにしても会社としては問題解決になりませんので、積極的に対応をしてくれるよう主張すべきと思われます。もし、税理士との関係上、そのような改善要望を突き付けられない場合には、税理士変更の検討も会社として必要なことだと思われます。


(3) 税理士にサービス精神はあるか


 税理士の態度が横柄であったり、税理士に相談すると叱られるなど、コミュニケーションの内容に問題があるケースも珍しくはありません。税理士が怖くて相談ができなくなり、言われるがままになっている…という事例も実際に存在します。会社自身でもすでに問題を認識しているレベルと思いますが、関係改善をしっかり検討しないと行けない状態です。


 対策としては、上述の(2)のケースと同様、顧問契約の内容を具体的にし、どのようなサービスを税理士がすべきかと明確にすることが重要です。契約上、双方は対等であることを明確にし、場合により、服務規律・サービス態度・円滑な業務遂行について明記することも対策になるかもしれません。

 また、顧問サービスは相談がしやすいかは重要事項となりますので、コミュニケーション問題が改善しない場合には、会社として税理士変更の検討も必要なことだと思われます。昔とは違い、最近は税理士にもサービス精神が必要な時代であり、若手税理士を中心に、非常にサービス精神が高い税理士は少なくありません。それらの税理士への変更に目を向けることも対策の一つと考えられます。


2. 税理士が高齢で、業務に支障が起きていないか


 税理士業界は過半数が60歳以上であり、80歳以上も10%以上いるという高齢化の著しい業界です(税理士実態調査)。そのため会社の顧問税理士の高齢化が問題になっているケースは相当に増えてきています。高齢化が一概に悪いということではありませんが、中には税制改正や会計システムに疎かったり、ケアレスミスや失念などが顕著となる例もあります。会社業務に支障が生じるほどの例が起きていないかチェックすることが必要です。もちろん、年齢が高くてもまだまだ壮健で頼りがいがある税理士も沢山います。一概に年齢だけで判断するのではなく、業務遂行能力や判断力が落ちてきていないかを見極めるのが良いでしょう。


 対策としては、その税理士に後継者や若いスタッフがいて頼れる場合には、会社の担当者を後継者やスタッフにしてもらうという方法があります。また会社の側から業務改善を伝えて、会計事務所側に対応を促すなどの方法を取るなど、会社が高齢化を懸念しているということを伝達することも重要と思われます。実際、そのような伝達をした際に、税理士側から廃業を伝えられ、引き継ぎ先の税理士の紹介をしてもらったという事例もあります。そのようにスムーズに税理士の引き継ぎをしてもらえる流れになると会社側も安心かと思います。



3. 最新のシステム指導をしてくれているか


 昨今では会計システムを中心に税理士がITシステムを活用するのが主流になってきています。一方でITシステムが苦手な税理士も多く、会計システムのバージョンアップについての説明指導が全然できていないといったケースや、ITシステムに関する質問をしても適切な解答が出来ず、結局自身でヘルプデスクに問い合わせた方が早いというケース等が発生していると聞きます。


 ITシステムが活用できていなくても業務上、すぐに問題にならないようにも思えますが、最近ではITシステムの発達がめざましく業務効率に直結する為、これらを放置することは経営問題とも言えます。経理人材がシステムを使いこなせないままの状態を放置すると、人材育成や労働生産性、経営管理に悪影響がでて、競争力の低下・金融機関からの信頼性の低下、などを引き起こす恐れがあります。


 また、最近は、会計・給与・販売・固定資産・銀行システムなどのシステム連携が発達し、システム間の連動により仕訳を自動生成するといった形で、経理のIT化は進歩し続けています。2023年に導入されるインボイス請求書制度になると、請求業務・入金支払業務についても電子化が進みますので、ますます経理のIT化対策は重要になります。さらに、ITシステム投資に関する補助金申請なども税理士事務所の支援が必要な場合があり、ITニーズに対応した税理士でないと、今後も様々な問題が発生しうるという事は認識しておくべきでしょう。


 上記のようなケースについて、会社としてできる対策としては、税理士がITに強くなるのは一朝一夕では難しいため、会計システムベンダーのヘルプデスクと直接やり取りするなど、会社から情報を取りに行くことが対策になるのではないかと思います。積極的に会計システムベンダー担当者に関わってもらうなどの工夫をしていくことが必要だと考えられます。またそれでも問題解決しない場合には、ITに強い税理士を探してみることも対策になるでしょう。



4. 税務調査で会社の立場から主張してくれているか


 税務調査で税理士が会社側の立場に立って主張をしてくれなかった、という不満を聞くこともあります。会社側としては、税務署からの指摘に対し、何らかの言い分や主張がある論点もあるでしょうから、税務代理人として税務署へ意見し交渉をして欲しいというのは当然です。もし顧問税理士が税務署側の意見ばかりを尊重する場合には、すぐに修正申告となってしまい、会社としては著しく不利となります。顧問税理士がこういったタイプの場合、修正申告により思わぬ納税負担が生じたり、延滞税や重加算税を負うことにもなりかねません。


 会社が取りうる対策ですが、まずは顧問税理士に会社側に立った意見や主張をするようきちんと指摘した方が良いです。それでも顧問税理士が意に沿わない場合には、セカンドオピニオンとして、税務調査に強い別の税理士に依頼する手があります。会社の顧問税理士が1人でなければならない制限はありませんので、セカンドオピニオン税理士とも契約をして税務調査対応だけ依頼することなども可能です。セカンドオピニオン税理士が税務署に対して「税務代理権限証書」を提示することで税務署側も税務代理人として認識でき、話をすることが可能となります。税務代理権限証書とは、税理士が税務代理をする場合にその権限を有することを証する書面であり、「代理人が複数いる場合における代表する代理人」などを記載する欄があるほどですので、セカンドオピニオン税理士が登場しても何ら問題はありません。会社としては新たな視点や税務上の理解が進む場合があり、良いきっかけにもなり得ますし、税理士にも得意分野・不得意分野がありますので、どうしても今の顧問税理士が頼りない状況があった場合には、セカンドオピニオン税理士を探してみるのは、選択肢として持っておくのが良いと考えます。


5. 会計や会社法が分かっているか


 税理士試験では、原価計算やキャッシュ・フロー会計、会社法などは、試験の範囲外となるため、これらをサービス範囲としている税理士は少ないのが現状です。しかし、製造業や建設業などでは原価計算の知識や建設業経理システム等を活用することが必要となっており、原価計算の知見がない顧問税理士だと、誤った計算を指導して業績管理上の問題を引き起こしてしまうケースがあり得ます。また、会社法の基本知識がない税理士の場合、株式や資本、総会手続きなどの対応を苦手としている事が多く、それらに関する情報提供やアドバイスができてないケースもあります。


 実際に、住宅販売業にも関わらず、期末の未成工事支出金や完成工事原価を個別法ではなく総合原価計算のように計算してしまっていたり、原価と販管費の区分が明らかに間違っていたり、原価差異の期末棚卸資産への配賦計算が間違っていたりといった事例は現実に起きています。また、会社法制定により自己株式が貸借対照表の資産の部から純資産の部に変更になったにも関わらず、長年にわたり資産の部に計上し続けていたり、退職給与引当金が税法で廃止となった際に引当金を取り崩してしまい簿外債務を作ってしまったりと、いった問題を起こしている事例も実在します。ある会社では、10年間で5回も会計事務所を変えたにも関わらず、適切な原価計算指導を受けることができず、金融機関からも指摘をされてしまっているようなケースがありました。


 上記のようなケースに対する、会社の取りうる対策としては、公認会計士である税理士を探すことです。公認会計士であれば、試験科目として原価計算やキャッシュ・フロー、会社法がありますので、企業財務の全般に渡り知見がありますし、監査法人において上場企業の原価計算等の現場実務を見てきていますので、中小企業の指導もしっかりできるかと思います。なお、製造業や建設業でかなり現場的な部分、あるいは経営改善分野については、業種専門のコンサルタントを探すことも有効です。コンサルタントには、得意分野が様々ありますので、品質管理だったり、事業再生だったりと、ニーズに応じて探すのが良いと考えられます。



税理士変更時のチェックポイント


ここまで、税理士変更を検討する場合のチェックポイントについてご説明してきましたが、ここからは、実際に顧問税理士を変更する場合に注意すべきポイントについてご説明します。


(1) 税理士変更に伴う会計システムの変更


 顧問税理士を変更とすると、一緒に会計システムを変更することが多いですが、その際のシステム移行が想定外に大変だったという事例は多いですので、注意が必要です。たとえば、前の税理士がシステムに疎く、システムデータのCSV出力を依頼しても、その方法が分からない等の事象が発生すると、データが入手できずシステム移行に影響してきます。会社の財務に関するシステム資産を顧問税理士が所有してしまっていると、このような問題が発生してしまいますので、会社でシステムを管理したり、税理士からバックアップデータやCSV出力データを随時に納品してもらうよう注意した方がよいと思います。また、TKC会計システムの場合には、使い続ける場合にでも事務所コード移管が必要となり、コード移管に手間取る場合がありますので、時間に余裕をもって対応することが良いと思います。


(2) 税理士変更は期中か期末か


 顧問税理士の変更タイミングに悩むケースも少なくありません。期末近くの場合、決算申告を前税理士に依頼しておき、期首から新しい税理士に切り替えることが考えられます。この場合、決算申告中の2ヵ月間については税理士の顧問料が2重に発生する場合もあります。期末で税理士変更するメリットは、会計システムデータの引き継ぎがスムーズな点です。前期については前の会計事務所が仕訳データを完成させ、今期については新しい会計事務所が仕訳完成させていくため、役割分担が明確ですし、申告期限もあり仕訳納品がスムーズになりやすいと思います。

 一方で、期中での税理士変更も可能です。期中での税理士変更の場合には、期末まで待ったりする必要がなく任意のタイミングで税理士変更できる点がメリットです。一方で、期中の会計データを前会計事務所と共に作成している場合、その会計データを納品してくれなかったり、中身が著しく問題があったり、会計システムを変更するような場合には、新しい会計事務所が期首から会計データをやり直し作成するデメリットが生じます。半期も過ぎている場合には、この会計データの取り扱いがややポイントになってしまう場合があります。ただ、作業の手間はあるにしても、期中での税理士変更ができないわけではありません。期中の変更は出来ないのではないかと思いこんでいる経営者の方もいらっしゃいますが、期中での税理士変更は特別イレギュラーな事ではありません。


(3) 給与システムなど他サービスの変更


 給与システムや、FinTechなどの外部連携サービスを使っている場合に、税理士変更に伴ってシステム変更することになると、移行手続きでどれくらいの手間がかかるのか注意が必要です。期中移行だと手間が相当かかる場合には、一部のシステムは次年度に移行するなどスケジュール調整をする必要があるでしょう。

 なお、システムに強い税理士に変更する場合には、移行作業にも強いと思われますし、新システムに切り替わった後には、従来使っていなかったような新ツールの指導や案内をしてもらえますので、結果的には生産性向上に繋がり、満足度が高まる可能性があると思われます。


(4) 電子申告の利用者識別番号


 税務署への電子申告等の際に使う利用者識別番号を前税理士が保有しており、会社が知らないケースは多いです。税務署からの連絡などがメッセージボックスに格納されており、税務申告において参考情報となることから、できれば引き継いだ方が良いと思われます。税理士変更する場合には、ぜひ前税理士から利用者識別番号(国税・地方税)を引き継いでもらうよう手配しましょう。



 ここまで本記事では、顧問税理士の変更を考える上でのチェックポイントについて書いてきました。どのような税理士と付き合うかで、会社経営や人材育成にも大きな影響を与えます。いまの税理士のままで大丈夫かな?と少しでも思った場合には、セカンドオピニオン税理士などを探して行動してみると良いでしょう。


無料相談承ります


 税理士法人山岸会計では上述のような顧問税理士の変更の相談に乗っております。初回相談は無料でお受けしておりますので、もし「セカンドオピニオン税理士を探してみたい」というお気持ちがおありでしたらお気軽に一度ご連絡頂けますと幸いです。

 ※相談したからといって弊事務所に顧問税理士を依頼する必要はございません。




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